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高炉
加古川製鉄所、神戸製鉄所で煤煙データを改ざん
・・・「企業倫理綱領」足蹴にする驚くべき企業体質を暴露

発表された事実の実態

2006年5月22日(月)神鋼の犬伏社長は記者会見し、加古川製鉄所・神戸製鉄所で自家発電用ボイラ等から大気汚染防止法の基準値を超える窒素酸化物(NOx)と硫黄酸化物(SOx)を排出しながら、地元自治体に提出するデータを改ざんする不正があったと驚くべき事実を発表しました。  その内容は次のようなものです。


加古川製鉄所神戸製鉄所
大気汚染防止法の基準値を超える排出対象設備窒素
酸化物
硫黄
酸化物
対象設備窒素
酸化物
硫黄
酸化物
(NOx)(SOx)(NOx)(SOx)
発電用ボイラ11時間22時間発電用ボイラ2時間無し
(調査対象:過去5年間、7基のボイラによる延59万時間の測定記録)(これ以外に、記録が削除され、SOxの基準超過分の可能性があるものが590時間存在)(調査対象:過去5年間、4基のボイラによる延27万時間の測定記録)

その他設備96時間1時間その他設備20時間無し
(調査対象:過去3年間、ボイラ以外の延22万時間の測定記録)(2分塊工場)(ペレット工場)(調査対象:過去3年間、延11万時間の測定記録)(均熱炉・加熱炉の3炉)
環境測定データが基準値を超えそうになった時の処理等○正常な数値に書き換え
 (加古川市は加工・整理されたデータを受け取っており、製鉄所が意図的に改ざんできるようになっていた)
○記録の中止
 (「測定値無し」=「欠測」として、設備が稼動していないと思わせる)
○データ隠し
 (一年間の保存が義務づけられている測定データを保存せず、真相に蓋)
○記録の中止
 (神戸市へデータを自動送信していたプログラムで基準オーバーすると「測定値無し」=「欠測」となるように信号を送っていた。また、ボイラは稼動直後はNoxの濃度が高くなるので、稼動後2時間の測定をしておらず、神戸市にはボイラが停止していることを示す「欠測信号」が送られていた)
その他○ 自家発電設備の定期安全管理審査受審漏れ5件
○発電用ボイラの蒸気漏れ事故の未報告12件。その社内記録を経産省への報告義務のない内容に改ざん

ここにあるのは、基準値のオーバーに対して設備の改善や操業ダウン等によって排出量を抑えようとする良識の欠如のみならず、問題を徹頭徹尾隠蔽して済まそうとする欺瞞と無責任の体質です。

地に堕ちたコンプライアンス

神鋼は地球環境問題への先駆的な取り組みと貢献を誇ってきました。また、1999年に発覚した総会屋との黒い付き合いの反省から生まれた「企業倫理綱領」では「法令の遵守(コンプライアンス)」を真っ先に掲げ、それが着実に進展していることを誇ってきました。

しかしながら今回、コンプライアンスは地に堕ちました。口先だけであったといわざるをえません。

この問題では、5月22日付けの「社員の皆さんへ」という社長文書が従業員に一斉に配布され、説明会が行われました。そこで幹部から「昔だったらこんなことは大問題にならなかったのだが・・・」「マスコミを喜ばせるようなことは言わないで欲しい」というような事の重大さを認識しているのか疑わせる発言が飛び出しています。また、ゴルフコンペの自粛の通達がだされましたが、本筋を離れたところで一生懸命になってもらっては困ります。

真相と原因を究明し、責任の所在を明らかにせよ

この問題は加古川や神戸の担当者が勇み足で起した事件ではありません。そのレベルで考えたのであればたまたま一致するということはありえないからです。上層部の関与でおこなわれたといわざるをえません。

私たちは、徹底した情報開示のもとで、真相と原因の究明と責任の所在を明らかにすることを要求します。このことを抜きにしては、どのような「抜本的な対策」が打ち出されても、それは「絵に描いた餅」に過ぎません。

また、社長の記者会見では、近隣住民への影響については「工場全体からの排出煤煙は総量規制を超えず、問題はない」と健康被害がないことを強調していますが、現段階でこういう結論を下すことは、はなはだ疑問です。この点の解明も今後の重要課題です。

生産第一・利益第一体質こそ根底の問題

いま、製鉄所の現場は「1トンでも多くつくり、利益をあげろ」という生産第一・利益第一で突っ走り、空前の利益をあげています。その裏で労災や設備事故が多発しており、現場の労働者はこのままではいつか大事故が発生するのではないかと不安を募らせています。私たち日本共産党は、これらの労災・事故の多発の根底には、この生産第一・利益第一の体質があることを指摘し続けてきました。今回のデータ改ざんも同根で、設備の稼動を落として生産が計画どおりにいかないことを恐れるところから発生していることは明らかです。この生産第一・利益第一の体質にメスを入れてこそ本当の対策が生まれます。 今日、「会社の発展を通して社会貢献をする」という考えでは企業の社会的責任を果たすことが出来ない時代です。もっと幅広い視点で地域との共生、社会との共生を真剣に追及することが求められています。

そのためには、会社にとって耳の痛い意見をいう者を異端者として排除する体質を改めることも重要です。
労働組合の積極的な対応・闘いも問われています。

神鋼が法令を遵守し、地域・社会と共生できる会社に生まれ変わるにはどうすればいいのか、このホームページをご覧になったみなさんの意見や提言をお待ちしています。

ご意見やご提案はこちらからお願いします。

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