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EUの労働者の闘いから見えてくる日本の労働事情

≪第2回 フランスのトヨタエ場での労働者の闘い≫
トヨタ・バランシエンヌ工場はフランス北東部、ベルギー国境近くのバランシエンヌ市近郊にあります。この地方は、20世紀初頭、石炭生産の中心として栄えましたが、1950年代後半以降、石炭生産は衰退の一途をたどり、トヨタ進出当時は失業率が20%にもなっていました。だからトヨタは過酷な過密労働に耐え、しかも比較的安い労働力を豊富に獲得できるという胸算用があったといえます。トヨタの思惑とヨーロッパの働くルールがどのようなせめぎ合いをしているのか、そこから日本の労働運動が学ぶべきことは何か、今回の訪問で探ります。

働くルールと生活習慣は一体
日本人「日本のトヨタで働く労働者の平均年間労働時間は、1963時間だ。一万人を超える労働者が年間360時間以上も残業をしている」
フランス人「いったい日本の労働者はいつ眠っているんだ。われわれは、3交代・24時間操業だが週35時間労働で、年間1600時間しか働かない。もちろん、土曜、日曜は休みだ。」」

有給休暇は30日完全に保障されます。たとえば月−金曜日に15日の有休を取ると3週間の休暇になり、5日の有休をとると、前後の土日を入れて最大9日間の休みが取れます。労働者たちはそうして家族と一諸に過ごしています。働くルールと生活習慣が固く結びついている。ここに、フランスの働くルールの根強さのルーツがあります。

日本なみの生産性増大
職場はいったいどんな状況になっているのでしょうか。同工場は、2002年に従業員約2600人で年産18万台で、正規従業員一人当たり生産台数は69台でした。それが2004年4月以降は、正規労働者2700人、非正規労働者300人が三交代制、24時間操業体制で年産24万台。(正規労働者)一人当たり88台と驚異的なスピードで生産性を高めてきました。トヨタ流の寸秒の無駄も許さない動作分析による過酷な過密労働を強要されているダイハツと同じくらいの一人当たり生産台数。カイゼンによる過密労働を実感させるデータです。

カイゼンによる過密労働の実態
日本人「日本のトヨタやダイハツでは、5人のチームで問題なしに仕事をしでいるとそれが問題になる。スムーズに仕事をしているのは無駄があるからだと。一人が操業から外され、残った4人で作業をして、寸秒の無駄な動作を削り込んでいく。これがトヨタ流のカイゼンでダイハツでは"人さらい"とよんでいる。」
フランス人「カイゼン! うちの工場でも、まったく同じだ。」

実際、手や腕の筋肉を痛めて、自主退職する労働者が増加し、修理部門の労働者が作業中に脳動脈破裂で死亡し、放置されていた事例も生まれています。日本の過労死がトヨタ生産方式とともにフランスに輸出されているのです。
3年間で退職者750人。「退職者が異常に多い。同じ産業の同規模工場では、これだけの退職者が出るには10年くらいかかるだろう」〔同工場のCGT(労働総同盟)代表〕といいます。2002年に何らかの治療を要する大小の事故2392件、うち労災認定200件。仏紙リベラシオーンは同ルポのなかで、同工場の労働災害発生率が同じ自動車メーカーであるルノーやプジョー、シトロエンと比べて4倍近くにもなっていると報道しています。

働くルールを守り抜く、労働者のたたかい
いま、フランスでは中小企業の経営悪化の問題もあり、週35時間労働制の枠組み残したまま、週労働時間を最大39時間まで拡大できるような制度改悪案が、保守中道政権によって国会に上程されています。仏トヨタ工場でも、その先取りといえるような内容の労働協約をCGT以外の労働組合が結んでいます。しかしトヨタの横暴にフランスの労働者は手をこまねいているわけではありません"カイゼン"でライン・スピードが上げられると、「スピードが速すぎる」と現場から抗議の声をあげます。いま"膨大な利益を健康に回せ"というスローガンを掲げてとりくみを強め、労働者の力でかちとった働くルールを守り抜く、固い決意です。こうした攻撃に抗してたたかうCGTは労働者の間で信頼を広げ、2002年秋の従業員代表選挙では前回2000年の19%から49.5%に支持を拡大しました。

フランスは、1930年代の人民戦緑の時代に労働者階級が全国全産業で一斉に立ち上るゼネストを決行し、8時間労働制を実現しました。その成果は、労働者と家族の間に生活習慣として定着しています。

(これは「しんぶん赤旗」2005年3月27日‐4月6日に連載された「見た感じたEU労働事情」の記事をもとに編集しなおしたものです。一部内容については「前衛」2005年2月号p216から引用し、補充をしました。)

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