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EUの労働者の闘いから見えてくる日本の労働事情

≪第6回 イタリア労組、フィルカムスの多様で柔軟な組織化への挑戦≫
世界的に組合組織率が低下しているなかで、イタリアの労働組合フィルカムス(FILCAMS)は、組合員数を増加させています。同労組はイタリア最大の労働団体、CGIL(労働総同盟)の産別組織。第三次産業の商業、観光、サービス業などの労働者を組織する、個人加盟の労働組合です。

二度のストライキで要求実現
フィルカムスは、コンフコンメルチョ(商業部門の経営者団体)との労働協約改定をめぐって、2003−04年に鋭く対立しました。03年に労働協約の期限が切れたのに経営者側が交渉を中断。フィルカムスは二度のストライキを実施し、昨年7月にようやく新しい労働協約を結びました。内容は、03−04年の賃金アップ分として125ユーロ(約1万7500円)、雇用形態の弾力化への歯止め措置(パートタイム労働者がフルタイムへの移行を希望した際、パートタイム労働者を優先的に雇用させる先任権の確保など)を実現しています。
日本では、会社が膨大な利益を出しているのに経営者は賃上げしようとしない、このやり方に文句を言わない労働組合。日本とは大きな違いです。

組合員増加、女性組合幹部を登用
フィルカムスは1995年に約22万人だった組合員が2004年には31万人近くに増加しました。多くは中小企業で、毎年、組合員の三割が入れ替わっていますが、一万人の割合で増やしています。女性幹部を積極的に登用し(いまでは42%を占めている)、働く女性の要求を具体的に分析し、政策化しています。例えば、妊娠・出産後の子育て休暇を取ったとき、正規でなくパートで働き、子どもに手がかからなくなったら、また正規労働者として働きたいという、要求を取り上げ、経営者団体と交渉し、実現しています。また、労働者が経営者と約束した労働時間延長を健康保護や家族の事情で取り下げる「取り下げ権」も保障させています。フィルカムスはこのように労働協約で不安定雇用労働者の要求を実現し、組織化を前進させています。

パートタイマーや学生パートにも労働協約
イタリアの商業部門、とくにスーパーマーケットの労働者は、約七割がパートです。最近、この分野で日曜・休日や深夜営業が認められるようになってなり、学生のパートタイマーが日曜や休日、深夜に働くのは普通になってきました。
フィルカムスは、学生パートの問題を青年対策とも位置づけ、学生パートにも賃金・労働条件で正規労働者と同等の権利を保障させるよう要求。経営者団体に認めさせ、労働協約化しました。取り組みが前進するなかで、青年労働者はフィルカムス組合員の18.24%を占めるまでになったといいます。

労働者の新しい動きに挑戦し、組織化
フィルカムスは、労働者の新しい動向に挑戦することに意欲的です。例えば、ミュージアムの案内を職業とするガイドの非常にあいまいな身分の保障についてフィルカムスは、ミュージアムが協同組合を組織していることに着目して、協同組合とガイドの最低労働条件についての労働協約を結び、組合員を獲得しています。また、海辺のレストラン業者は、夏はメードを採用しますが、冬は必要ありません。雪山の業者はその逆です。そこで、フィルカムスは労働者は労働者で、業者は業者で登録すると、スムーズに労働力が移動できるという仕組みを作りました。事業体は地域レベル、全国レべルにつくられ、組合員を拡大しています。

職場と地域が協力し要求調査、労働協約化
フィルカムスは人的にも財政的にも現場重視を貫き、組合員500人に一人の割合で専従スタッフを置くようにしています。イタリアでは、組合があれば職揚に組合事務所を保障することが法律で定められています。職場の組合事務所に集まった組合員と県事務所の専従スタッフが連携して労働者の要求を調査し、それを労働協約化し、その成果を知らせ、労働者を組織化しています。

フィルカムスの組合幹部はいいます。「現在のフィルカムスの活動や組織形態は、今日はよくても明日は違うかもしれない。われわれは日常不断に現実にあう活動を追求している。だから将来は、また違う活動や組織形態をとるかもしれない」。
労働者のおかれた現実を"企業の窓"からでなく、"社会的な窓"からみて、新しい変化を見逃さず、そこから労働者の要求を分析、実現のために努力しています。

(これは「しんぶん赤旗」2005年3月27日‐4月6日に連載された「見た感じたEU労働事情」の記事をもとに編集しなおしたものです。)

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