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地域住民を愚弄する神鋼の煤煙改ざん

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神鋼のやってきた煤煙改ざんは、加古川市民だけにおさまらず、神戸・大阪地方にも甚大な被害をあたえた社会的な問題であり、さらに地球環境にかかわっているゆゆしい問題である。

 2年前の年の暮れだったろうか、加古川バイパスを走っていた。冬の澄み切った空に、ひときわ黒い煙が空に向かって立ち上がっていたのをかすかに記憶している。そのとき、神鋼の排ガスの有害成分は基準値を超えていないのだろうか、と心配になった。残念だが、煤煙データの改ざんが新聞に報道された。

 すでに、三十年に近くにわたって加古川市民は煤煙の被害を受けていたことになる。三十年といえば当時20歳だった人が50歳である。あまりにも長いあいだ市民を愚弄してきたのだ。   大人二人の間のごたごたを解決するのは生やさしくない。両者の間にいつまでもしこりが残ったりするからだ。片方が企業となるとさらに生やさしくない。大きな会社のどこに訴えたらよいのかもわからない。勇気をふるって訴えても「隠し事」を組織ぐるみでやっていては、抗議をしても門前払いをされてしまうだろう。煤煙の基準値を超えているにもかかわらず正常ですといわれれば、証拠をつかんでいない限りすごすごと戻るしかない。

 あまり煙がひどく家の中が黒くなるので、窓を締めていた、と住民は語る。怒りはますますふくれあがっているにも拘わらず、住民の多くは「望ましからざる」市民として押しのけられたくないから、泣き寝入りしたかたちで我慢し、抗議の声を上げられないでいたのだろう。神鋼の傲慢不遜な態度はゆるせたものではない。

 三十年前といえば、1970年代の中頃である。70年代の初めのころ日本は公害列島だとの批判が高まり、公害を許さないという人々の声が、革新府政の原動力になった頃だ。企業の公害にたいする意識が、向上とまでゆかなくても、一定程度ゆきわたっていたように思う。  このような住民運動の歴史があったから加古川市には企業は排ガスの基準値を守ってくれるだろうという、信頼関係もあったのかも知れない。その加古川市と神鋼のなれ合いの間隙をぬって改ざんしていたというから驚きだ。住民不在と言われても仕方がない。儲けるために、会社で働く労働者の命(安全)を無視して生産しているのと同じことだ。6種類もの改ざん方法を採っていたという。改ざんはまこと細かに計画したものとしか考えられない。

 神鋼は橋梁工事談合など、企業としての良心を問われるさまざまな問題を引き起こしてきた。いろんな問題を引き起こしながら、真剣に反省していなかったのだ。だから同じような問題を繰り返して起こす。JR西日本は多くの死者と悲しみを作りだした。その後も儲け本位の体質を改めず、安全を軽視したまま電車を走らせ、事故を繰り返しているのと同じである。今回の事件でも、社長はきっぱりと辞任すべきだ。報酬の減額という程度の処分では再びあやまちをおこすだろう。

 社内には企業の行動基準をしめす内規がある。がしかし、職場では成果、業績が重んじられ、それと矛盾するものとなっている。生産第一、儲け第一に気を走らせている会社の風土が、社内で働く人の良心を押し込めるのである。良心を生かして「物もうせば」、その人の昇格・査定がたちまち断ち切られる。正直者が馬鹿をみたり、まじめに働くものが損をしたりする現実が、神鋼のなかにきびしく存在するというのは事実である。企業のなかにいれば自由にものをいえない風土が確かにある。

 企業をお上に仕立て上げてはいけない。生産第一を目指しているかぎり、今回のように人間を病の奈落の底に落とすことがはっきりわかっていても傍若無人、儲けを貫くことになる。これが大企業のやりたい放題の内部の姿だ。ここでは市民や国民がごまかしの生産をさせないぞ、という規制を作って、市民の監視や声が届くようにしなければならない。それでもなお、神鋼は大企業の「仮面」をつけて、工場周辺の市民を犠牲にしながら生産を続けるのかもしれないが・・・。神鋼は今回の事件をキッパリと反省し、謝罪し、住民との合意を得、加古川で二度と起こさないように対策をねってほしい。

 企業は社内で働く人びとの人間性を大切にし、人間の良心までも組織の網の中に包まないこと。地域でも、公開すべきは公開して社会との連携を密にし、地域住民との信頼関係をくずさないのが今日の企業のあり方だろう。多くの地域住民は神鋼が社会的にも大切な企業だといわれるように行動してほしいと願っている。神鋼はこのことを深く自覚し、誠意を示してもらいたい。
 と同時に、企業の動きを監視することも必要だ。70年代頃の公害反対のたたかいでは、科学者や住民が協力して学習会を開いている。学習会を重ね住民の自覚を高めていたら、神鋼が30年間も違反を隠しての操業は無理だったろう。

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