日本共産党神戸製鋼委員会バー
ホームへ わたしたちの活動 職場の動き 職場の声 はたらく者の権利 世界の動き・日本の動き ひろば リンク

職場の動き



人間らしく働ける社会こそ
工場岸壁

神戸製鋼の事故対策報告書はおかしい!!
加古川市から、加古川製鉄所の一連の火災等の事故に関し、事故防止と安全確保を求める申入が神戸製鋼へなされた。住民を守る立場の自治体としては当然である。
これに対する回答が神戸製鋼のホームページ(http://www.kobelco.co.jp)に2005年6月20日付で掲載されている。タイトルは「加古川製鉄所における火災等事故防止体制の確立について」である。

今回の一連の事故に対する会社の対応は、世論の批判が厳しくなったので、仕方無しに公表したとも受け取れる。しかし、事故の内容を公表することは、企業としての社会的な責任であり、当然の義務である。

この会社回答では、以下の4つの事故が対象となっている。
1)5月8日:発電所火災
2)5月16日:製鋼工場溶鋼飛散
3)5月24日未明:配管からの蒸気噴出による騒音発生
4)5月24日夕方:6号ボイラ大気放散管消音器外れによる騒音発生

そして、会社はこう答えている「この緊急事態に対し製鉄所長名で全製鉄所の作業管理、設備管理の総点検を実施することを発信した。加えて、今回の事故の発生原因を分析・整理した。

1)想定していなかった原因により発生した
2)作業マニュアルで決めていなかった、あるいは守られなかった結果発生したことが、主因であるとの認識のもと、以下の新たな取り組みにより、事故防止体制の再構築を図っています」と。

ここで会社は、1)の事故で1名が死亡し、2)の事故で2名が重症を負うという痛ましい重大事故であったことについて口をつぐんでいる。
会社の事故原因認識の貧困さには驚くほか無い。こんなものを公表してはばからない、その無神経さにも驚く。そこにあるのは、会社の事故責任の回避と、個人への責任転化でしかない。これでは、またいつ事故が起こっても不思議ではなく、事故にあった人たちもたまらないし、救われない。そして、このような認識が、過去の様々な事故発生の要因ともなってきた。

だから私たちはこの報告に反論する。それは神戸製鋼所に働くものの義務でさえある。 私たちは主張する。これら一連の事故の真の原因と責任は会社の施策にこそあると。

『想定していなかった原因により発生した』:
想定された事故だとしたら、当然、その状態を放置し、対応を取らなかった会社の責任が直接問われることになる。JR事故や日航事故など、事故が起きるたびに繰り返される、様々な会社が繰り返す言い逃れ、それも鼻白む責任逃れの常套手段でしかない。会社の対応策から見えてくることは、これまでの安全管理能力がいかに低レベルであったかという事実だ。

『作業マニュアルで決めていなかった、あるいは守られなかったことが、主因である』:
それでも知らなかっただけでは済まされない。ここで会社の安全管理の杜撰さと責任の所在をさらけ出している。誰か何処かに責任をもっていかねばならない。そのもって行き先は、これも会社の常套手段で、個人のせいにする。JR福知山線事故では、ご存知のように、当初JR西日本は置石のせいにさえした。

安全で確実な作業をするためには作業マニュアルが重要である。しかし、それは万全ではない。生産と安全とを臨機応変に支えているのは働く人間自身だ。決して作業マニュアルではない。事故責任を個人に絶対に押し付けてはならない。誰も事故を起こしたくて起こすものでも、死にたくて事故で死ぬわけではない。事故を起こしたのが個人であったとしても、その個人に事故を起こさせた背景、会社の施策などを解明してこそ、事故の真の原因を深く理解し、事故防止に活かすことができる。JR福知山線の事故でも、それが明らかになっており、わたしたちの教訓とさえなっている。それがなぜ会社は分らないのか。それとも分っているからこそ隠したいのか。

事故の主因:
今回の事故の根底にあるものは、「生産第一、安全第二」「人員削減」「設備費・保全費等の削減、無修理放置」の利益優先主義にある。生産限界を超える生産体制、慢性的な人手不足による過密労働・不慣れな作業・疲労蓄積等、老朽設備の破綻・・・これらの中に働くものを追い込んでいった施策こそ事故の主因である。

だから、私たちは会社に要求する。会社が本当に「二度と事故を起こさない」決意であるならば、

  • 生産限界や安全限界を超える生産体制を直ちに見なおし、やめよ!
  • 慢性的な人手不足を早急に解消するため、現場が求める充分な人員をそろえよ!
  • 増産設備優先ではなく、老朽設備の更新を優先せよ!
  • 事故の原因を個人のせいにするな!

事故の主因となった自らの施策への責任を放棄し、働くもの個人のせいにしつづけて、これまでも会社は事故を起こしつづけてきた。加古川の事故は、もはやそのような態度が、企業として許されないことをいみじくも示している。事故の再発を防止し、社会的に責任ある企業として存続して行こうとするのなら、神戸製鋼所は働くものの要求に真摯に耳を傾け、抜本的対策を立て、実行せよ。

このページのTOPへ

ホームへ わたしたちの活動 職場の動き 職場の声 はたらく者の権利 世界の動き・日本の動き ひろば リンク