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高炉
再雇用者はつらいよ

今、神鋼の鉄鋼生産現場はフル操業です。その生産体制を支えているのは60歳を過ぎたベテラン層です。彼らがいないと品質の良い鉄が作れないし、それどころか生産がストップします。まさに生産の中核を担っているといっても過言ではありません。
なぜこのような事態が起こっているのか。それは1980年頃から1990年代半ばに掛けての人減らし合理化で、新卒の若い労働者の採用を極端に抑えてきたからです。その時の合理化政策のしわ寄せが、現在、高齢者に再雇用者問題として降りかかってきているのです。 今、再雇用者は二つの面で悲鳴をあげています。

一つは、60歳を過ぎてもこれまでと同じ体制・・・これまでと変わらぬ交代勤務で、一人ひとりに重い負荷がかかり、責任も変わっていない・・・の仕事で、身も心もクタクタです。歳をとると製鉄所の交代勤務の仕事は本当にきついものです。定年になって、このきつさから解放されることは全ての人が抱く夢です。それなのにベテランの力が不可欠ということで、同じ負荷と責任の仕事が定年後もそのまま続くのは正に地獄です。

最近、現場に若者が増えてきています。その若者に労働災害が頻発して大きな問題となっています。訓練と教育が疎かにされているからです。若者の教育は、昔は専任の教育指導員がいて、OJT(On the Job Training実地訓練)で教えていました。人減らしでその教育指導員がいなくなり、代わりに班長などの上級職が担っていますが、彼らも仕事に組み込まれて、生産量が大幅に増えた現在、その余裕はありません。また、人手不足で若年の班長が増えており、若いだけにいろいろな面で未熟さが残っており、見るに見かねてベテランが若者に教えているというのが生産現場の実情です。このこともベテランの負荷となっています。

このように再雇用者の知恵と技能が欠かせないというのなら、せめて負荷と責任を軽減して欲しいというのが再雇用者の切実な声です。会社は、本当にこれまでのベテランの貢献に感謝し、これからも彼らの力に頼りたいと思うのなら、負荷と責任を軽減して貢献してもらう方策、それこそ当の再雇用者に相談し、その声に配慮して皆で考えれば、必ず生まれてくる・・そういう方策を考えるべきです。アメリカの金融危機から起こった不況の影響で、鉄鋼生産も減産されます。これまでは減産されると、それと見合った人減らし合理化が常でした。今こそ、そのような従来のやり方を転換して、減産の時こそ、再雇用者の負担と責任を減らす方向での生産体制の構築を考えるべきでしょう。

 二つ目は、これまでと同じ負荷と責任で仕事をしているにも拘わらず、給料がガクンと半分に減っていることです。再雇用者の力が生産の継続に不可欠といいながら、一方では仕事があるだけでも幸せと思え・60歳すぎても金が稼げるだけマシと思えという考えがミエミエです。このような人をバカにした賃金を絶対に許してはなりません。

 サブプライム問題をきっかけにしたアメリカ発の金融恐慌は100年に一度のもので、ウォール街が主導してきた、世界のGDPの10数倍もの金融商品を作りだして荒稼ぎする強欲経済の破綻であり、借金漬けの消費帝国アメリカの終焉です。それはまた、日本経済はアメリカの過剰消費に支えられた輸出産業に深く依存していたという体制の終焉です。これまで、金融を中心としてあくなき高度成長を追及してきたアメリカをはじめとする先進国がいよいよ成長の限界に突き当たったのです。世界的な政治経済の転換の時期です。日本でも、雇用の安定を図り、福祉を充実させ、農業を興し、中小企業の技術を生かし、地球環境に配慮した内需重視の経済運営への転換が急務となっています。そういう時、私たちの生産と労働も本当にワーク・ライフ・バランスとディーセントワーク(人間らしいまともな仕事)に立脚したものに転換する必要があります。今回の再雇用者問題の解決もこういう転換の重要な第一歩です。

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